━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ケーススタディ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
esxtop コマンドによるパフォーマンス情報を見る方法( CPU 編)
仮想マシンを使用している場合に、「期待した性能が出ない」や「仮想マシンの応答が無い時がある」といったような現象に遭遇することがあります。
そのような場合は、まず期待した性能とはどのような期待値なのか、また応答が無いと判断した箇所はどこかを明確しなければなりません。
期待する動作の差異を明確にした後に esxtop コマンドで実際のパフォーマンスを計測することで、問題点を絞り込むことが可能になることがあります。
ESXi ホストに SSH 経由で root ログインし esxtop コマンドを実行することでリアルタイムの ESXi ホストの稼働状況を見ることができます。
前回は esxtop コマンドを使用してストレージのレイテンシを確認する方法をご紹介しました。
今回は CPU に関するパフォーマンス情報の確認方法についてご説明していきます。
仮想マシン毎の CPU 使用状況を表示するには esxtop のコマンドを実行し、[c]、[V] を順にタイプします。
出力された統計情報の内、%RUN、%WAIT、%RDY、%CSTP の4つの項目から、仮想マシンによる CPU 使用状況を判別することが可能です。
### 出力例 ###
4:12:09am up 12 days 19:11, 684 worlds, 2 VMs, 8 vCPUs; CPU load average: 0.06, 0.06, 0.07
PCPU USED(%): 6.9 13 7.1 5.2 AVG: 8.2
PCPU UTIL(%): 7.1 13 7.3 5.3 AVG: 8.4
ID |
GID |
NAME |
NWLD |
%RUN |
%WAIT |
%RDY |
%CSTP |
%MLMTD |
63714312 |
63714312 |
VM1 |
11 |
7.34 |
1066.87 |
1.64 |
0.00 |
0.00 |
63837295 |
63837295 |
VM2 |
13 |
7.09 |
1262.63 |
1.69 |
0.00 |
0.00 |
### 重要な項目 ###
NWLD
仮想マシンに関連付けられているワールド(スレッド)数
%RUN
仮想マシンが、CPU リソースを消費している時間の割合
仮想マシンの応答がなく %RUN の値が vCPU 数 * 100 に近い場合、仮想マシンは全ての vCPU をほとんど限界まで
利用しています。
このような場合は OS ベンダに問い合わせていただき、ゲスト OS 上でこのような処理が発生した原因を突き止める
必要があります。
%WAIT
VMkernel リソースが使用可能になるのを仮想マシンが待機している時間の割合
仮想マシンの応答がなく %WAIT の値が NWLD * 100 に近い場合、仮想マシンが VMkernel リソースによる I/O 処理
の完了を待機していることが原因となっていることがあります。
複数の仮想マシンの CPU 使用状況がこのような傾向にある場合、ストレージパフォーマンスが低下している可能性があ
ります。
%RDY
コマンドの実行準備が整った状態の仮想マシンが、他の仮想マシンとの競合により CPU リソースのスケジュール待ちに
なっている時間の割合
仮想マシンの応答がなく %RDY の値が %MLMTD (Max-Limited, CPU の limit 値に依存)の値に近い場合、 仮想マシン
に設定された CPU リソースの上限値が不足しているため ESXi ホストが仮想マシンに割り当てる CPU リソースを制限し
ている可能性があります。
%CSTP
複数の vCPU が構成された仮想マシンにて、コマンドの実行準備が整った状態で、複数の CPU リソースが使用可能に
なるのを待機している時間の割合
仮想マシンの応答がなく %CSTP が %RUN に比例するようにして高い値を取る場合、全ての vCPU を同時に実行可能に
するようスケジュールするために ESXi ホストが CPU リソースを制限している可能性があります。
これらの項目の値を確認することで、仮想マシンが応答しない原因が vSphere 基盤側にあるのか、パフォーマンスに起因するものなのか、といった観点から問題を切り分けることが可能です。
更なる詳細については下記 KB をご参照ください。
応答しなくなった仮想マシンのトラブルシューティング: VMM とゲスト CPU 使用量の比較 (2084289)
特にゲスト OS 上で発生した問題を切り分けるためには、今回ご紹介した CPU 使用状況の確認が有効です。
トラブルシューティング時の初期対応として是非 esxtop をご活用ください。
|