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ケーススタディ
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vSphere Data Protection (VDP) 安定稼働のすすめ
vSphere Data Protection (VDP) は vSphere 環境に最適化されたバックアップソリューションです。vSphere Essentials Plus 以降のライセンスに含まれており、アプライアンスのデプロイと簡単な設定でインストールすることができるため、多くのお客様にご利用いただいています。その分お問い合わせ件数も多いのですが、適切なサイジングや設定を行っていただくことで回避できる事象も少なくありません。
今回は、トラブルを未然に防ぐためにおすすめしたい設定と、ご案内することの多い KB をご紹介します。
デプロイ時の推奨事項
VDP は最小 4GB からデプロイが可能です。
しかし、バックアップソリューションという製品上バックアップや整合性のチェックなど I/O が多い処理を行うため、構成や運用によっては想定以上に負荷がかかりメモリ不足に陥ることがあります。
以下にご紹介する 「1. アプライアンスへのメモリ追加」 と 「2. MCS サービスの Java Heap Memory の増加 」はトラブル発生時の対処法としてご提案することも多い手順です。未然にトラブルを防ぐため、余裕のある設定をお願いします。
1. アプライアンスへのメモリ追加
VDP はデデュープストアが 2TB 未満の場合、最小 4GB のメモリでデプロイすることが可能ですが、パフォーマンスを安定させるため 8GB 以上で構成していただくことをおすすめします。
すでに 4GB でデプロイ済みの場合も、以下の KB に記載されている手順で変更が可能です。
Data integrity check fails to complete in VMware vSphere Data Protection (2051287)
2. MCS サービスの Java Heap Memory の増加
VDP では MCS (Management Console Server) という Java プロセスが動作しておりジョブの管理や vCenter Server との通信を行っています。デフォルトでは 1GB の Heap Memory が割り当てられていますが、2GB に変更いただくことでパフォーマンスが安定する場合があります。
本作業を実行される場合は、「1. アプライアンスへのメモリ追加」でご紹介したシステム全体のメモリサイズの変更もご検討ください。
How to increase Java heap size in the VDP appliance (2147968)
お問合わせの多い VDP の事例の紹介
次に VDP の問題でお問合わせの多い事例をご紹介します。
1. VDP が分散仮想スイッチ (DVS) に接続されていると vCenter Server から VDP に接続できない
問題の概要:
VDP version 6.1.2 が DVS に接続されると vSphere Web Client から VDP へ接続できなくなります。
バックアップ対象の仮想マシンが DVS に接続されていてもバックアップに失敗します。
対応策:
本事象は VDP version 6.1.3 以降で修正されました。最新の VDP version 6.1.5 をご適用下さい。
対応策の詳細は以下 KB をご確認下さい。
Deploying the vSphere Data Protection 6.1.2 plug-in fails with the error: Type 'com.vmware.vim.binding.vim.dvs.PortConnection' not found (2145686)
vSphere Data Protection 6.1.2 プラグインのデプロイが次のエラーで失敗する: タイプ「com.vmware.vim.binding.vim.dvs.PortConnection」が見つかりません (Type 'com.vmware.vim.binding.vim.dvs.PortConnection' not found) (2151457)
2. VDP version 6.1.2 以前のバージョンで VDP の稼働が不安定になる
問題の概要:
vdr-server プロセスが MCS へのコネクションを多数生成してしまいバックアップやレプリケートを実行していないのにも関わらず、VDP 自身の CPU 使用率やメモリ使用率が高騰します。また、vSphere Web Client から VDP に関する各種情報の取得に時間を要したりバックアップが失敗したりします。
対応策:
本事象は VDP version 6.1.3 以降で修正されました。最新の VDP version 6.1.5 をご適用下さい。
3. バックアップ対象の仮想マシンの vmdk が VDP にマウントされたままになる
問題の概要:
バックアップ中にバックアップ対象の仮想マシンの vmdk が VDP にマウントされたままアンマウントされず、バックアップに失敗したり該当仮想マシンのスナップショットのコミットに失敗したりします。
対応策:
手動で VDP からバックアップ対象の仮想マシンの vmdk を削除し、スナップショットを統合します。
対応策の詳細は以下 KB をご確認下さい。
Unable to delete the virtual machine snapshots (2017072)
仮想マシンのスナップショットを削除できない (2092911)
終わりに
バックアップソリューションの運用はシステムの持続性を担保する上で重要な課題の一つです。VDP についても円滑に運用いただくためデプロイにあたり上述した情報をご参照ください。
なお、VDP は今後リリース終了予定であり同アーキテクチャの製品である Avamar® が後継製品として位置づけられております。既に VDP をご利用いただいているお客様も、これからご利用予定のお客様も順次 Avamar® への移行をご検討ください。
End of Availability (EOA) of VMware vSphere Data Protection (2149614)
*Avamar® は Dell EMC の登録商標です。
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