自律型ワークスペースとは
自律型ワークスペースは、コンテキストに応じた豊富なインサイトとデータ サイエンスを組み合わせて IT 運用を合理化し、最適な体験とセキュリティを提供するという、高度なエンドユーザー コンピューティングのコンセプトです。IT 部門が定義したルールベースの自動化フローから、データ サイエンスを駆使するコンテキストに応じたアクションへの進展を図るのが狙いです。
この最新のビジョンは、自動化から自律化へのワークスペース管理の進化を表しており、この 2 つの概念には大きな違いがあります。
- 自動化されたワークスペース:構成とルールに基づくアプローチであり、手動のプレイブックや、限られたタスクを対象とする分離された個別の自動化を使用します
- 自律型ワークスペース:継続的にデータを収集して学習し、高度な成果重視のアクションを実行するシステムであり、人手をほとんど(またはまったく)介することなく、望ましい状態で動作するよう各システムを維持します
自動化されたワークスペースは効率を向上させますが、IT 部門がシステムをプログラムしなければなりません。一方、自律型ワークスペースは、AI/機械学習アルゴリズムを使用して IT 部門の負担を軽減しつつ、プロアクティブで高度なセキュリティとシームレスなエンドユーザー体験を提供します。
自律型ワークスペースの中心となる理念は、コンテキストを常に認識して、データとインサイトへの継続的なアクセスを提供することです。この情報はデータ サイエンス モデルのトレーニングに使用され、IT 部門の関与を最小限に抑えながら現行システムが維持されます。
自律型ワークスペースのメリット
完全にモダン化されたデータサイエンスに基づくアプローチでワークスペース管理が行われることで、さまざまな部門や重要分野にわたって改善が生まれます。自律型ワークスペースのビジョンに基づくガイドラインに従うと、企業は次のようなメリットを得られます。
- IT 部門の負担軽減:人の介入が最小限で済むため、IT 組織はより効率的に機能できます。統合エンドポイント管理や仮想デスクトップ インフラストラクチャ(VDI)などの機能によって IT 運用が簡素化され、タスクではなくイノベーションに集中できるようになります。
- ビジネス成果の向上:コンテキストに応じたアクションにより、管理、セキュリティ、エンドユーザー体験において、有効性の高い成果をもたらします。
- ハイブリッド型ワークスタイルの強化:効果的な成果を実現して、摩擦を減らし、従業員のデジタル体験を向上させます。自律型ワークスペースのコンセプトを適用すると、セキュリティを犠牲にすることなく、あらゆる場所の従業員にシームレスな体験を提供できます。
自律型ワークスペースがもたらすメリットは、自動化されたワークスペースのメリットを上回ります。自動化されたワークスペースも IT 部門の負担を軽減するとはいえ、IT 部門の介入が必要です。
大きく進化した自律型ワークスペースのコンセプトは、人手をほとんど、またはまったく必要としません。データ サイエンスを使用して IT 部門の作業負荷を大幅に軽減し、効果的な成果や体験を継続的に生み出すことができます。
自律型ワークスペースが重要である理由
自律型ワークスペースは、柔軟な業務環境の新たな潮流を企業が取り込むうえで重要なコンセプトとなります。今やチームは場所を変えながら、そしてデバイス、アプリケーション、ネットワークを変えながら仕事をしています。このような変化する環境で、自律型ワークスペースは人的エラーが発生する可能性を低減すると同時に、多くのタスクを抱えた IT 担当者が見逃してしまいそうなイベントへのリアルタイムの対応を可能にします。
多くの企業がハイブリッドな働き方に移行するにつれ、IT 組織にとって、次のような複雑な問題が生じています。
- リモート オンボーディング テクノロジーの必要性
- 多様なユースケースに対する連携性のないポイント ソリューション
- 生産性に寄与するツールやインフラストラクチャの欠如
- ネットワーク、デバイス、アプリケーションに関する時間のかかるセキュリティ対応
- エンタープライズ アプリケーションへの信頼性の低いリモート アクセス
- 悪意のあるアクターによる攻撃機会の増加
分散化された業務環境では、従業員のセキュリティや体験が複雑になるため、レガシー ツールや手動による IT タスクではもちろん、IT の自動化でも対応できないようなサポートが必要になります。このような変化に対応し、IT 部門にとって負担の少ない移行を進めるために、企業は自律型ワークスペースのコンセプトを検討できます。
自律型ワークスペースのコンセプトは、従来の自動化されたポリシー管理を超えて、ハイブリッドな働き方に必要な運用の俊敏性を実現すると同時に、IT 部門の運用負担を軽減します。IT 部門に依存するのではなく、プロアクティブなインサイトを使用して、自動構成、自動修復、自動保護の成果を促進します。
- 自動構成:自律型ワークスペースでは、ポリシーや構成のエラーに関する事後対応的な確認は不要になります。変化が発生した場合には、コンプライアンスに準拠した望ましい状態にデバイスが自動で戻されます。
- 自動修復:自律型ワークスペースは、エンドユーザー環境のインシデントを検知して分離し、変更管理を迅速化するとともに自動での修正を促進して、従業員体験を向上させます。
- 自動保護:自律型ワークスペースは、セキュリティやコンプライアンスの脆弱性をインテリジェントに検知し、隔離および修正アクションを自動的に実行して、ワークスペースを保護します。
自律型ワークスペースのユースケース
自律型ワークスペースのコンセプトでは、ハイブリッドな働き方から生じるさまざまな障害を解決し、機会を提供できます。自立型ワークスペースは、次のようなユースケースにおいてほかのワークスペース コンセプトに対する優位性があります。
- 従業員体験:自律型ワークスペースにより、IT 部門はリモートワーカー、ハイブリッドワーカー、フロントラインワーカーに強化されたエンドユーザー体験とサービスを提供できます。DaaS のようなサービスを自律型ワークスペースに組み合わせると、従業員があらゆる場所やデバイスから仮想デスクトップにログインし、一貫したパフォーマンス、アップタイム、柔軟性を享受できるようになります。
- プロアクティブなセキュリティ:自律型ワークスペースは、すべてのアプリケーションとデバイスにわたるプロアクティブな評価、修正、セキュリティのために継続的な機械学習を活用して、広範なセキュリティとアクセスを提供します。状況に即したインテリジェンスと自動保護アクションにより、企業はゼロトラストへの移行を簡素化できます。
- IT のモダナイゼーション:自律型ワークスペースは、運用を自動化し、タスクではなく成果に焦点を当てて、IT のモダナイゼーションへの取り組みを加速させます。分析とクラウドネイティブの管理により、IT 部門の対応がスピードアップし、サイロが解消されて、IT の複雑さと総所有コスト(TCO)が低減します。
すべてのユースケースで、自律型ワークスペースのコンセプトは、単純な自動化を単独で使用するよりも多くの利点をもたらします。このコンセプトを組織で正しく適用すれば、これまで IT 運用部門に委ねられていた分析や修正がデータ サイエンスによって処理されるため、従業員は技術的な問題を IT 担当者が解決してくれるまで待つ必要がなくなります。自律型ワークスペースは、管理の必要なしに、データを継続的に監視して効率的にエラーを修正するため、人的エラーが発生する可能性も低くなります。
自動化されたワークスペースと比較して、自律型ワークスペースは、手間を大幅に減らしながら、体験、セキュリティ、モダナイゼーションをサポートします。
自律型ワークスペースとデジタルワークスペース
デジタルワークスペースは、データ、アプリケーション、デバイスなど、企業の IT ニーズを一元的に管理する最新のテクノロジー フレームワークを指します。その目的は、運用を簡素化し、場所や時間を選ばず働けるように従業員をサポートすることです。
デジタルワークスペースも自律型ワークスペースも、最新のワークスペース管理のコンセプトの一例です。デジタルワークスペースと同様に、自律型ワークスペースも、IT 部門の負担を軽減し、ハイブリッドワーカーを支援することを目標とします。ただし、自律型ワークスペースは、より進化したコンセプトであり、デジタルワークスペースの特徴を適切な情報に基づいて強化できるという違いがあります。
- 自律型ワークスペース:デジタルワークスペースに適用できる高度なワークスペース管理のガイドラインで構成される
- デジタルワークスペース:自律型ワークスペースのコンセプトに含まれる高度なワークスペース管理のガイドラインを取り入れて進化することができる
通常のデジタルワークスペースでは、問題の発見と解決について IT 部門が管理する必要がありますが、自律型ワークスペースでは、AI/ML アルゴリズムを使用してプロアクティブに問題を特定し、環境を保護します。自律型ワークスペースは、人の介入を必要としない、自動構成、自動修復、自動保護を提供します。
自律型ワークスペースのビジョンは、人ではなくデータ サイエンスを最大限に活用して、価値の高い成果と最先端の体験を実現することです。自律型ワークスペースのコンセプトをデジタルワークスペースに取り入れたとき、デジタルワークスペースは次のレベルに進化します。
自律型ワークスペースへの取り組みについて
自律型ワークスペースのコンセプトは、VMware Anywhere Workspace プラットフォームの指針となっています。
このプラットフォームは、統合と自動化に関する既存の原則に加えて、自律的なデジタル管理機能を備えており、プロアクティブなインサイトを使用して自動構成、自動修復、自動保護の成果を促進します。これらの機能は、IT 運用を簡素化し、モダナイゼーションを推進して、ハイブリッドな働き方を支援します。自律型ワークスペースのコンセプトから着想を得たこのプラットフォームは、完全自律型のデジタルワークスペースを実現します。

自律型ワークスペースへの VMware の取り組み

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