ビジネス継続性計画とは

 

ビジネス継続性計画(BCP)とは、業務の重大な中断を防止したり、迅速なリカバリを実現するための綿密な戦略や仕組みです。民間企業、行政機関、学校など、あらゆる種類の組織において、災害時や異常時でも日々の業務を継続できるようにするために練られる作戦のようなものです。

 

そのような中断の例としては、火災、大地震などの自然災害、病気の蔓延、サイバー攻撃など、日常業務に支障をきたすさまざまな状況が含まれます。これらの状況によって組織の通常ルーチンに重大な支障が生じた場合に、ビジネス継続性計画の指示、プロセス、ツールを活用して業務を継続したり、ダウンタイムからの迅速な回復を図ります。 

ビジネス継続性計画が重要である理由

リスクは管理できても、撲滅することはできません。ビジネス継続性計画を行わなければ、ダウンタイムなど、経営に支障のある問題に対処できないため、これは非常に重要です。大災害の発生時にビジネス継続性計画がなければ、企業は甚大な財政的損失を被り、廃業に追い込まれることにもなりかねません。 

あえてリモート優先のワークスタイル戦略を構築するメリット

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ビジネス継続性計画の作成方法

効果的なビジネス継続性計画の作成には、さまざまなフレームワークが存在しますが、ほとんどのフレームワークには、互いに重なり合う次の 3 つのフェーズが含まれています:

  • 分析:このフェーズでは、ビジネスで発生する多種多様な業務を特定および評価します。次に、災害がこれらの業務に与える影響を特定します。このフェーズでは通常、最終的にもっとも重要な業務を継続できるようにするという観点から、さまざまな領域や部門がその重要性に応じて優先順位を付けられます。 

    ビジネス継続性の担当者はよく、ビジネス インパクト分析(BIA)から新しい計画の構築を始めます。BIA では、収益の損失といったビジネス特有のメトリックに照らして、さまざまな災害状況の影響を概算します。

  • 計画:初期分析が完了後、次のフェーズでは、災害時の業務継続や通常業務の中断からの迅速な回復のための、具体的な計画の構築を行います。計画フェーズでは、次のことが行われます:
    •  迅速な移転やリモート ワークへの移行など、発生し得るニーズに関するプロトコルを構築。
    •  一時的な人材配置の変更やニーズを戦略化。
    •  ディザスタ リカバリ用 IT ツールを導入し、基幹システムの継続性を確保。 

このフェーズで重要な点は、役員や関係者で構成されるビジネス継続性チームあるいは危機管理チームを任命することです。これらのチームは必要な場合に計画執行の指揮を取ります。 

  • トレーニングとテスト:どれほど堅固な BCP であっても、定期的なテストを通して、必要が生じた場合にうまく機能することを確認する必要があります。これには、災害時における従業員の役割や責任について教育したり、計画のさまざまな項目を試行することなどが含まれます。その一例として、リモート ワークを短期間だけ実施し、問題や改善点を特定するといったことが挙げられます。  

ビジネス継続性計画の主な項目

BCP の項目には、業界や業種に応じて異なるものもありますが、ほぼすべての計画にあてはまる項目もあります:

人員:BCP では、危機管理リーダー チームだけでなく、計画のさまざまな項目の執行部門についても、役割や責任が明確に定義されます。BCP では「必須要員」が定義されることもあり、これには、もっとも高リスクな状況下でも継続が必要な業務の担当者などが含まれます。 

 

テクノロジー:最近のほとんどのビジネス継続性計画では、重要なデータ、アプリケーション、サービスを継続的に利用可能にしたり、ダウンタイムから迅速に回復させるために IT が果たす役割について、明確に示されています。たとえば、次のものがあります。

 

サービス デリバリ:BCP には、もっとも重要なサービスはどれで、お客様、従業員、パートナー、一般ユーザーなどに対してそれらの提供を継続するにはどうすればいいかについても記述する必要があります。 

 

健康と安全:最後に、ビジネス継続性プログラムを堅固なものとするには、計画を執行および管理するにあたって、従業員、お客様、パートナーなど、関係者全員の健康と安全が確保されるための基準やガイドラインを記述する必要があります。 

ビジネス継続性計画のチェックリスト

多くの組織では、ビジネス継続性計画の一環としてチェックリストを作成しています。これは BCP の主要なすべてのステップをリスト化したものです。チェックリストには 2 通りの使用方法があります:

  1. 構想:まず、計画作成の糸口として使用できます。この場合、BCP チェックリストには、分析からテストまで、計画の構築に必要なステップが詳細に記述されます。


  2. 執行:次に、BCP チェックリストはテストや実際に計画を執行する際に使用できます。この場合、BCP チームあるいは危機管理チームはチェックリストを使用することで、計画で規定されたすべてのツールやプロセスが活用されていることを確認し、そのことを組織全体に効率的に通知します。

ビジネス継続性計画とディザスタ リカバリ計画

ビジネス継続性計画とディザスタ リカバリ計画はしばしば似たようなものとして語られますが、これらの用語は互いに置き換えることはできません。ビジネス継続性計画は、災害時の運用や重大な中断からの回復のための包括的な戦略です。 

 

ディザスタ リカバリ(DR)計画ではより具体的に、そういった状況下でミッションクリティカルなデータ、アプリケーション、サービスへのアクセスを保持したり回復するために使用できる IT のプロセスやツールが扱われます。DR 計画ではたとえば、あるデータセンターが洪水に見舞われた時、そのデータセンターからサービスが提供されている収益性の高い Web アプリケーションへのアクセスをどのように回復するかが詳細に記述されます。 

ビジネス継続性計画のレビュー頻度

ほとんどの専門家が、ビジネス継続性計画は定期的にレビューし、必要に応じて更新すべきであるとしています。それにより、リスクや脅威が刻々と変化するなかで、組織のニーズに合致した計画に保つことができます。 

 

ビジネス継続性計画のレビュー頻度は、組織の性質、業界、特有のリスクなどさまざまな要因に応じて異なります。一般的に、1 年に 1 回、少なくとも隔年に 1 回は計画をレビューする必要があります。しかし、以下のような状況では、より頻繁なレビューを検討してもいいでしょう:

  • ビジネスや業務が大幅に変更された
  • 自然災害などの危機的状況に見舞われやすい地域に立地している
  • 必需性の高いサービスを提供している組織や機関である

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