クラウド管理とは、プライベートクラウドやパブリッククラウドを使用するうえで、使用状況を監視し、効率の最大化を行うプロセスです。企業では通常、クラウド管理プラットフォームを使用してクラウドの使用状況を管理します。IT 管理者は、クラウド管理により、クラウド間でワークロードを移動したり、クラウド リソースのコストを管理したりできます。
現在では、IT インフラストラクチャの一部または全部をクラウドで運用する企業が増えています。その場合、プライベートクラウド、パブリッククラウド、またはハイブリッドクラウド(プライベートクラウドとパブリッククラウドの両方を組み合わせた環境)が使用されます。マルチクラウド戦略が採用される場合もあります。クラウドにはさまざまな選択肢があります。そのため、クラウドベースのサービスをいつ、どのように使用するかを情報に基づいて判断できるように、また、費用対効果に優れたクラウドの利用ができていることを確認できるように、クラウド管理戦略を策定しておくことが重要です。
クラウド管理の最初のステップは、使用状況の監視により、ベースライン データを得ることです。クラウドの使用状況とそれに関連するコストが明確になれば、マルチクラウド環境のどこでワークロードを実行すべきかについて、情報に基づいた判断ができるようになります。クラウド管理ソフトウェアを使用すると、プロセスのなかでパフォーマンスとコストの監視ができ、プライベートクラウドとパブリッククラウドの間のワークロードの移動が可能になるだけでなく、自動化することができます。このようなツールを使用すると、マルチクラウド管理の効率性を大幅に向上させることができます。
クラウド管理プラットフォームには、クラウドのデータの管理、コンテンツの管理、アプリケーションの管理ができるものがあります。また、これら 3 つすべての管理ができるものもあります。
クラウド管理ソフトウェアを使用すると、プライベートクラウドで維持すべきものとパブリッククラウドに移行すべきものについて、情報に基づいた判断をするために必要な情報を収集できます。また、その判断の結果を監視して、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドの管理を最適化するのに役立てることができます。プライベートクラウドやハイブリッドクラウドを管理するための独自の社内ツールを開発している企業は少なくありません。
パブリッククラウド プロバイダーは通常、提供しているクラウド サービスのコストの管理、監視、確保に役立つ独自のソフトウェア ツールを提供しています。ただし、こうしたツールで、基本的なレポート機能だけでなく、パフォーマンスの詳細情報が得られることは少ないでしょう。複数のパブリック クラウドを使用する場合、それぞれに個別のクラウド管理ツールが用意されていても、複数のパブリック クラウド サービスの管理に役立つように設計されたサードパーティ製のツールが必要となっています。
IT 管理者は、プライベートクラウド管理ソフトウェア ツールを使用することで、より効率的にリソースを割り当てることができます。たとえば、1 人のユーザーが大量のワークロード要求でサーバのリソースを圧迫することがないように、IT 管理者がクラウド管理ツールを使用して、ユーザー ベースのリソース クォータを割り当てることもできます。また、リソースの監視で得られたデータを利用して、リソース需要の急増を予測し、対応を計画することもできます。
確固としたクラウド管理戦略は、コストを管理するうえで重要な要素です。また、IT のパフォーマンスと効率性を高めるうえでも役立ちます。クラウド管理には、そのほかにも次のようなメリットがあります。
クラウド コンピューティングに関するコンプライアンスや法的要件は厳格化、複雑化しています。そのため、クラウド コンピューティング インフラストラクチャを使用するすべての企業にとって、クラウド管理戦略とそれを支えるツールが非常に重要になっています。パブリック クラウドの独自の管理ツールを組み合わせて使用することは、容易ではありません。マルチクラウド環境が拡大すると、(使用しているすべてのクラウド サービスの状態を単一のダッシュボードで確認できるような)プラットフォームをまたいだクラウド管理ツールの重要性が高くなります。これは、セキュリティの観点からは特に重要と言えます。
優れたクラウド管理プラットフォームは、クラウド インフラストラクチャのそれぞれの要素がいつ、どのように使用されているのかをユーザーが確認することができ、ワークロードをどこで実行すべきかを判断するうえで役立つものである必要があります。クラウドベースのアプリケーションのパフォーマンスの状態、どこでパフォーマンスの低下が起きているか、クラウドのどの部分が十分に活用されていないかをユーザーが確認できることが求められます。また、セキュリティの脆弱性に関する情報や、組織のポリシーに準拠しないパブリッククラウドの利用に関する情報も得られることが理想です。クラウド管理プラットフォームによって、クラウドの管理コストを削減できるポイントや、パフォーマンスを最適化する方法がわかれば、そのプラットフォーム導入の元を取ることができます。
しかし、クラウド コンピューティングのメトリックを監視して、賢明なビジネス上の意思決定を行うには、専門的なスキルが必要になります。クラウド管理ツールは、そのツールを効果的に使用する方法を理解している人がいなければ、役に立ちません。組織の IT 担当者がパブリック クラウドの連携や管理に精通していない場合は、クラウド サービス プロバイダーを利用することができます。
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