クラウド ストレージとは

クラウド ストレージは、コンピューターのデータをリモート サーバ上の論理プールに保存する方法です。クラウド ストレージは、サードパーティのクラウド プロバイダーによって物理的にホストされる場合もあれば、オンプレミスのサーバでホストされて組織内のユーザーに「as-a-Service」で提供される場合もあります。クラウド ストレージ プロバイダーは、通常、データの物理的なセキュリティと可用性を維持する責任を負います。たとえば、暗号化スキームを利用してデータの機密性を保持し、流出が発生しないようにする必要があります。

クラウド ストレージ サービスには、Dropbox や OneDrive などのアプリケーションを通じてアクセスできます。ユーザーは、アプリケーション プログラミング インターフェイス(API)、Web ゲートウェイ、またはコンテンツ管理システム(CMS)を介して、ローカル ストレージ デバイスと同じようにフォルダ内のデータにアクセスできます。


クラウド ストレージの料金モデルは多岐にわたります。多くのプロバイダーは、容量に制限のある低価格または無料の「基本」アカウントを提供しています。たとえば、Dropbox は 2 GB のクラウド ストレージを無料で提供しており、Microsoft は Office 365 の各アカウントに 1 TB のクラウド ストレージを用意しています。Amazon AWS や Google Cloud Platform など、その他のクラウド ストレージ プロバイダーは、ストレージの使用量に応じて課金しています。

また、ほとんどのクラウド ストレージ プロバイダーは、実質的に無制限のストレージや従業員への高度なサポートを含む企業向け料金モデルも提供しています。ユーザーや組織は、ニーズの変化に応じて料金プランとプロバイダーを変更できます。

2020 年版ロードマップ:クラウドの導入に向けてインフラストラクチャをモダナイズする 3 つのステップ

クラウドネイティブなマイクロサービスに対応するアプリケーションのレジリエンス

クラウド ストレージのメリット

  1. コラボレーションの強化:クラウド ストレージのフォルダに保存されたファイルやデータは、チーム メンバー間ですぐに共有できます。多くのクラウド ストレージ プロバイダーは、複数のユーザーによるファイルの同時アップデートをサポートしており、リアルタイムでの編集やコラボレーションが可能です。クラウド ストレージでは、大きなファイルを送信するのではなく、リンクを共有するだけで、大容量のファイルやフォルダにもすぐにアクセスできます。
  2. ユビキタスなアクセス:一般にクラウド ストレージは、ドラッグ アンド ドロップによってアップロードやダウンロードを実行できるなど、直感的なユーザー インターフェイスで簡単に使用できるようになっています。ユーザーは、インターネットにブロードバンド接続されている場所であれば、好きなデバイスからクラウドベースのデータにアクセスできます。
  3. セキュリティ:クラウド ストレージ プロバイダーは、多層型のデータ セキュリティを提供しています。まず、一般にデータは障害からの保護を目的として複数のアベイラビリティ ゾーンに複製されます。また、一般にデータは暗号化されるため、クラウド プロバイダーのサーバが侵害された場合でも、データへの不正アクセスを防止できます。
  4. コスト削減:クラウド ストレージの場合、サーバ、ストレージ、ネットワーク デバイスをオンプレミスで維持する必要がなく、ストレージの管理をクラウド プロバイダーに委託できます。企業は、インフラストラクチャのライフサイクルを管理するために人員やリソースを投入する必要がなく、これらのデバイスの OS アップデートに煩わされることもありません。ユーザーも企業も、管理の負担から解放され、予測可能な月額費用というメリットを享受できます。
  5. バックアップの自動化:すべてのデータ保存にクラウド ストレージのフォルダを利用すれば、すべてのデータが自動的にバックアップされるため、ユーザーや組織にとって非常に便利です。多くのクラウド ストレージ プロバイダーでは、オフラインでのアクセス用にローカル物理ドライブにフォルダが作成されますが、クラウド ストレージのフォルダに書き込まれたデータは、クラウド プロバイダーのサーバに自動的にアップロードされるため、ユーザー デバイスの故障からデータが保護されます。
  6. マルチデバイスの同期:あるデバイスで作成したファイルは、同じクラウド ストレージ アカウントを利用する別のデバイスと同期できます。同期は、別のデバイスが電源オンになり、インターネットに接続されたときに行われます。たとえば、出張前にラップトップの電源を入れるだけで、選択されたフォルダはデスクトップ マシンで作成したファイルで自動的に同期されます。その後ラップトップで行った変更は、自動的にデスクトップに同期されて反映されます。
  7. スケーラビリティ:クラウド ストレージでは、ユーザーや組織のニーズの変化に応じて、必要なストレージを実質的に瞬時にプロビジョニングして対応できます。新たにストレージ デバイスやサーバを購入する必要はありません。

クラウド ストレージが重要な理由

ここ数年、クラウド ストレージが人気を博している理由は、主に 2 つあります。1 つ目は、クラウド ストレージ プロバイダーが提供する安心感です。ユーザーのデータは安全にバックアップされており、ローカル コンピューターが故障した場合でも、データはクラウド プロバイダーに安全に保管されています。多くのクラウド ストレージ プロバイダーは、ユーザーが誤って削除したファイルを復元する機能や、特定ファイルの過去のバージョンを復元するオプションを提供しています。

2 つ目は、クラウド ストレージが提供する可搬性と利便性です。クラウドに保存されたデータは、事実上あらゆるデバイスから、いつでも、どこでもアクセスできます。ユーザーは、空港のキオスク端末やオフィスのデスクトップから、または自宅からスマートフォンでクラウド ストレージにアクセスできます。必要なのは、正しいユーザー アカウント情報だけです。

クラウド ストレージの仕組み

クラウド ストレージは、インターネットに接続されたサーバ上で維持されています。ユーザーのデータは、多くの場合、冗長性や障害時のデータ損失防止のために複数のサーバに書き込まれます。クラウド ストレージのユーザーは、インターネットを介して接続し、Web ポータル、クラウド ストレージ アプリケーション、または API を使用して、クラウド ストレージにアクセスします。したがって、大量のデータをアップロードまたはダウンロードする場合は、組織のクラウド ストレージへのアクセスをサポートするために十分な帯域幅(およびネットワークの冗長性)を確保することが重要です。

クラウド ストレージ プロバイダーによっては、ユーザーがプロバイダーからデータをダウンロードする際に Egress 料金が発生する場合もあるため、クラウド環境の設定に関するすべての料金を把握しておく必要があります。

アカウントの確立後、ユーザーは次のような方法でクラウド ストレージをプロビジョニングできます。

デバイス上のクラウド ストレージ フォルダに書き込む

Web インターフェイスを利用し、使用したストレージについてトランザクション単位で料金を支払う

固定月額料金制のサブスクリプション サービスを利用する

必要に応じてクラウド プロバイダーが動的に行う

クラウド ストレージには大きく次の 2 種類があります。

パブリック クラウド ストレージ

パブリック クラウド ストレージは、幅広いサードパーティが「as-a-Service」モデルで提供しています。AWS、Google、Microsoft Azure などのハイパースケール クラウド プロバイダーはいずれも企業向けにクラウド ストレージを提供しており、Google、Dropbox、Box、Apple iCloud、Microsoft OneDrive などの多くのプロバイダーは個人と企業の両方にサブスクリプションベースのクラウド ストレージ サービスを提供しています。

オンプレミス(プライベート)

オンプレミスのプライベート クラウド ストレージは、NAS デバイスや、ストレージ プロビジョニング ソフトウェアを実行するサーバによって提供されます。これらのプライベート クラウド サービスは、クラウド プロバイダーと同様に、接続したユーザーがアクセスできるフォルダの形で仮想ストレージ プールを提供します。

プライベートクラウドとパブリッククラウドの大きな違いは、インフラストラクチャのメンテナンスやアップグレードの責任をだれが負うかです。パブリック クラウド ストレージでは、クラウド プロバイダーがその責任を担います。オンプレミス ストレージでは、メンテナンスやアップグレードはエンドユーザー組織の責任となります。プライベート クラウド ストレージは、セキュリティを重視する組織が利用することが多く、オンプレミスでのストレージの保有を求めるガバナンスまたは規制上の理由から使用される場合もよくあります。

クラウド ストレージの安全性

組織は平均して 5 種類のクラウドサービスを利用しており、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに伴いクラウド ストレージの導入が加速し、在宅勤務の従業員にとってストレージやバックアップが簡素化されています。100% のアップタイムを提供するプラットフォームはありませんが、クラウド ストレージ プロバイダーはデータの損失や流出の防止において高い実績を上げています。たとえば、Google は 2 要素認証とデータ転送での SSL 暗号化を採用しており、Dropbox はそれに加えて、AES-256 ビット暗号化を使用して保存データを暗号化し、さらにデバイスの紛失や盗難に対する保護機能を提供しています。

すべての主要なクラウド ストレージ プロバイダーはエンドツーエンドの暗号化を保証しており、クラウド ストレージ プロバイダーのデータセンターは、一般的な企業のデータセンターをはるかに上回るセキュリティ対策が施されており、事実上、侵入不可能な状態にあります。

クラウド ストレージに必要なインフラストラクチャ

ホスト型クラウド ストレージを使用する利点の 1 つは、クライアント デバイスからデータにアクセスするためのインフラストラクチャが不要であることです。クラウド ストレージ プロバイダーがインフラストラクチャについて全面的に責任を負うため、実質的に企業はオンプレミスでのストレージ管理から解放されます。

ただし、クラウド ストレージはオンプレミスに導入することもできます。NAS はクラウド ストレージとも言えますし、オンプレミス サーバ用のクラウド ストレージ環境を提供するソフトウェア会社もあります。NAS デバイスは一般的に自己完結型であり、ユーザーはネットワーク接続さえあればアクセスできます。Egnyte のようなその他のオンプレミス クラウド ストレージ ソリューションでは、実行用の仮想マシンと NetApp アプライアンスなどのローカル ストレージが必要です。

どのクラウド ストレージ ソリューションでも、想定されるユーザー数とトラフィック量に対応できるだけのネットワーク帯域幅が必要になります。

関連するソリューションおよび製品

ハイパーコンバージド インフラストラクチャとは

従来のデータセンターの要素をすべて兼ね備えています。

Software-Defined Data Center(SDDC):詳細

場所を問わずあらゆるアプリケーションを迅速に実行できます。