DaaS(Desktop as a Service)とは
DaaS は、サービス プロバイダーがエンドユーザーにインターネット経由で仮想デスクトップを提供するクラウド コンピューティング製品です。ライセンス形態はユーザー単位のサブスクリプション ベースです。
仮想デスクトップ インフラストラクチャを自社で構築するにはコストとリソースがかかりすぎると判断した小規模企業に代わって、プロバイダーがバックエンドの管理を行い、提供します。通常、管理にはメンテナンス、バックアップ、アップデート、およびデータ ストレージの管理が含まれます。デスクトップのセキュリティとアプリケーションの管理もクラウド サービス プロバイダーが担当する場合もありますが、個々のユーザーがこれらを行う場合もあります。DaaS では、パーシステントとノンパーシステントの 2 種類のデスクトップを利用できます。
- パーシステント デスクトップ:ユーザーはデスクトップをカスタマイズして保存できるため、同じユーザーがログオンすると毎回同じ状態でデスクトップが表示されます。パーシステント デスクトップは、ノンパーシステント デスクトップより多くのストレージを必要とするため、費用が高くなる傾向にあります。
- ノンパーシステント デスクトップ:ユーザーがログアウトするたびに消去されます。つまり、単純に共有クラウドサービスにアクセスする仕組みであると言えます。
クラウド プロバイダーによっては両方の選択肢を提供する場合もあるため、特定のニーズを持つ従業員にはパーシステント デスクトップを、臨時の従業員にはノンパーシステント デスクトップを用意することができます。

DaaS for Dummies ガイド

テレワークをサポートするだけでなく、場所を問わず業務を行える組織を実現
DaaS のメリット
従来のデスクトップ モデルと比較すると、DaaS にはいくつかの明確なメリットがあります。DaaS では、アクティブ エンドユーザーの新規割り当てや利用停止が非常に迅速かつ低コストで実施できます。
- アクティブ エンドユーザーの新規割り当てや利用停止の迅速化:デスクトップは構成済みのため、新しいデバイスに接続するだけで完了します。需要や従業員数に一定の波がある季節的なビジネスでは、DaaS を利用することで時間と費用を大幅に節約できます。
- IT サポートのダウンタイムの短縮:DaaS では従業員への IT サポートもリモートで提供できるため、ダウンタイムを削減できます。
- コスト削減:DaaS を実行するデバイスに求められる処理能力は、従来のデスクトップ マシンやラップトップでの作業で必要となる処理能力よりもはるかに低いため、安価で消費電力の少ないデバイスを利用できます。
- デバイス利用の柔軟性の向上:DaaS はさまざまなオペレーティング システムやデバイスで利用できます。そのため、ユーザーが個人のデバイスをオフィスで使用するトレンドをサポートし、各デバイスでデスクトップを実行する際のサポートの負担をクラウド サービス プロバイダーに転嫁することができます。
- セキュリティの向上:DaaS ではデータがデータセンターに保存されるため、セキュリティ リスクは非常に小さくなります。万が一、ラップトップやモバイル デバイスが盗難にあった場合には、サービスを簡単に切断できます。盗まれたデバイスにはデータが保存されていないため、機密データにアクセスされるリスクは最小限に抑えられます。また、DaaS 環境ではすべてのデスクトップをリモートで同時にアップデートできるため、セキュリティ パッチの適用やアップデートのインストールも簡単です。
DaaS の仕組み
DaaS では、クラウド サービス プロバイダーがインフラストラクチャ、ネットワーク リソース、ストレージをクラウドでホストし、ユーザーのデバイスに仮想デスクトップをストリーミングします。ユーザーは、Web ブラウザーやその他のアプリケーション経由でデスクトップのデータやアプリケーションにアクセスします。組織は必要な数の仮想デスクトップをサブスクリプション モデルで購入します。
デスクトップ アプリケーションは中央のサーバからインターネット経由でストリーミングされるため、グラフィックを多用するアプリケーションは従来、DaaS で利用するのが困難でした。しかし、この状況は最新のテクノロジーによって変化し、CAD のように高速な描画のために膨大な処理能力が必要になるアプリケーションも DaaS で利用できるようになりました。1 つの物理サーバのワークロードが高くなりすぎた場合、グラフィック アクセラレーションや GPU アクセラレーションを使用するアプリケーションが中断なく実行されるよう、IT 管理者は実行中の仮想マシンを別の物理サーバにわずか数秒で移行することができます。GPU アクセラレーテッド DaaS(GPU-DaaS)は、3D モデリング、ハイエンド グラフィックス、シミュレーション、ビデオ制作を扱うあらゆる業界にとって無視できない存在です。たとえば、エンジニアリング、設計、放送、建築の分野でこのテクノロジーのメリットを活用することができます。
VDI と DaaS の違い
仮想デスクトップ インフラストラクチャ(VDI)は、企業が中央のサーバでデスクトップのオペレーティング システムをホストし、エンドポイント デバイスにリモートで提供するものです。すべてのデータはデータセンターのサーバに保存されます。エンドポイントは、ユーザーがインターネット経由でそのデータにアクセスするための単なる手段として機能します。VDI では、データセンターのネットワーク、ストレージ、コンピューティング インフラストラクチャに対する多額の投資に加え、仮想インフラストラクチャのセットアップと管理を熟知した IT チームが必要になります。DaaS モデルでは、クラウド サービス プロバイダーがインフラストラクチャのセットアップと管理を担当します。そのため、利用するエンドユーザーの数とサブスクリプションの価格によっては、社内で新たに仮想デスクトップ インフラストラクチャをセットアップするよりも DaaS を利用するほうがはるかにコストを抑えられます。
多数のユーザーを抱える企業の場合、VDI と DaaS のどちらを利用してもコストを削減することができます。これは、いずれの場合も大部分の処理がデータセンターで行われ、エンドポイントのデバイスには高い処理能力が必要とならないためです。ただし、多数のユーザーにサービスを提供する場合、発生する問題に対処できる相当数の IT スタッフが必要になります。DaaS では、導入や接続の問題、エンドユーザー側で発生するその他の問題はベンダーが対処するため、企業の IT スタッフが少人数でも対応することができます。
一方、VDI では、デスクトップ仮想化製品やセキュリティを DaaS よりも詳細に制御できるメリットがあります。セキュリティやアプリケーションに特別な要件や厳格な要件がある企業では、すべてのニーズを満たす費用対効果の高い DaaS プロバイダーを見つけられない可能性があります。
DaaS のメリット
従来のモデルと比較すると、DaaS には管理の簡素化、柔軟性の向上、所有コストの削減などのメリットがあります。テレワークの選択肢の提供と個人所有デバイスの柔軟な利用を目指す企業では、DaaS を活用することにより、デジタルワークスペースを迅速かつ容易に構築できます。ユーザーは、さまざまな種類のデバイスを使用してどこからでも仮想デスクトップにログインでき、別の場所から前回アクセスしたときとまったく同じ状態のデスクトップを表示することができます。必要なのはインターネット接続だけです。データは離れた場所で一元管理されているため、バックアップは定期的に実行することができます。ユーザーは自分でバックアップを管理する必要はなく、オフィスのコンピューターに置いたデータに自宅からアクセスできないということも発生しません。
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