デジタルワークスペースとは
デジタルワークスペースは、従来の職場を今日のテクノロジーで仮想化した最新の業務環境を指します。デジタルワークスペースは、パーソナライズされた役割ベースのサービスに加えて、従業員が場所、デバイス、時間に制約されずに仕事を進めるために必要なデータ、アプリケーション、コラボレーション ツールを提供します。これを実現するために、デジタルワークスペースでは、ユーザーのアクティビティに適応するモビリティ サービスやデジタル テクノロジーを活用して、従業員エンゲージメントの向上を図ります。
調査会社 Gartner は、「デジタルワークスペースは、より効果的な新しい働き方を実現し、従業員のエンゲージメントと俊敏性を高めて、消費者志向のスタイルとテクノロジーを活用できる」と述べています。
デジタルワークスペースという言葉は、2009 年に Digital Workplace Group の創設者である Paul Miller 氏が、職場に関するテクノロジーの幅広いエコシステムを表現するために発案したものです。一般的な職場の必然的な進化と言えるデジタルワークスペース戦略には、ビジネス目標を達成するためのテクノロジーやツールが数多く含まれます。その一部を以下にご紹介します。
- コミュニケーション ツールおよびアプリケーション
- コラボレーションとソーシャル エンゲージメントのプラットフォーム
- 社内外での共有を可能にするコンテンツおよび知識管理システム
- ドキュメントの共有と保存を目的とするクラウド ストレージ ツール、イントラネットおよびポータル プラットフォーム
- ドキュメントのアーカイブ、モバイル統合とモバイル デバイス管理
デジタルワークスペースの変革は、各組織の具体的な要件に合致していると同時に、ユーザーや従業員の体験全体に対する視点を持ちながら進める必要があります。デジタルワークスペースでは、コミュニケーションとコラボレーションを簡素化しながら、従業員が場所、使用するデバイス、時間帯に関係なくデータにアクセスして業務を遂行するための一元化されたハブを提供する必要があります。

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デジタルワークスペースのメリット
- コラボレーションとコミュニケーションの促進:デジタルワークスペース アプリケーションは、従業員同士の横のコミュニケーション、従業員と経営陣の縦のコミュニケーションを容易にして促進します。これにより、デジタル ワークスペースがなければ埋もれていたようなアイデアを発展させることができます。メッセージング ツールにより、従業員は迅速に行動でき、従業員同士で意見を交換して意欲や満足度を高めることができます。
- パフォーマンスの向上:新しいデジタル ツールによって主要パフォーマンス指標(KPI)を特定することで、デジタルワークスペース ツールを使用する外部ユーザーと従業員の両方の体験を改善できます。
- 柔軟性の向上:柔軟な職場環境と柔軟な勤務スケジュールにより、従業員は、仕事に対する満足度を高め、ワークライフ バランスを充実させながら、各自の事情に合わせた時間で働くことができます。夜型の人も朝型の人も、1 日を最大限に有効活用できます。
- 生産性と効率性の向上:デジタルワークスペース ツールによって、従業員はより多くの仕事を短時間でこなせるようになり、さらにコラボレーションやコミュニケーションも容易になるため、数日かけてメールをやり取りするのではなく、リアルタイムで共同作業して業務を遂行できます。また、パスワードの再設定など、IT 関連の単純なリクエストに対応するユーザーフレンドリーなツールにより、IT 部門の負担が軽減されるため、技術担当のリソースが生産的なタスクに集中できます。
- 運用コストの削減:飛行機での移動をオンライン ミーティングに、会議をインタラクティブ ホワイトボードに置き換えて、航空運賃や、ホテル、食事、レンタカーの代金など、年間で大きな経費削減を達成できます。また、オンプレミスの従業員数を減らして、毎月の賃貸料、電気料金、空調費なども節約できます。さらに、デジタルワークスペース プラットフォームでマネージド サービスや SaaS を活用することで、運用に必要なオンプレミスのサーバ、ストレージ、IT リソースを削減できます。
- 収益の増加:調査によれば、企業はデジタルワークスペース戦略を採用してコスト削減と生産性向上を推し進めることにより、収益を大幅に増やすことができます。
- 従業員体験の向上:エンゲージメントが高い従業員は、ソーシャル プロファイル、ディレクトリ、アクティビティ フィード、コラボレーション ツールを活用してコミュニケーションやコラボレーションを積極的に行うため、社内での立場に関係なく、従業員同士のつながりが深まり、すべての従業員にとって一体感が生まれます。このようなユーザー体験の向上は、離職率の低下につながり、結果として新しい従業員のトレーニングや失われたスキルの埋め合わせに費やされる時間が減るため、収益の増加をもたらします。
- 顧客体験の強化:満足度の高い従業員はブランド向上の推進役となります。また、職場を大切にする従業員の前向きな姿勢は、関わり合うお客様にも波及します。
デジタルワークスペースが必要な理由
仕事はもはや 1 か所で行うものではありません。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、経営陣へのスマートフォンの導入から始まった大きな変革に拍車がかかっています。リモート サイトで働く従業員の増加に伴い、従業員のエンゲージメントを高めてコラボレーションやコミュニケーションを促進する職場環境を再現する必要性が明確になっています。そのような生産的な環境を実現するために、安全なデジタルワークスペース戦略を採用する組織が増えています。優れたデジタルワークスペースは、テクノロジーやツールを従業員に提供し、コストがかかるオフィス スペースの必要性を減らして、運用コスト全体の削減を実現します。
デジタルワークスペースの実装方法
企業によって要件は異なるため、各企業は、安全なデジタルワークスペースに向けてそれぞれの道を進む必要があります。ただし、組織がデジタルワークスペース戦略を構築する際に考慮すべき一般的なガイドラインがあります。
まず、現在のデジタルワークスペースのフットプリントを評価します。現在利用されているシステムの長所と短所を見極めることも目標にすべきです。この評価は全社規模で実施する必要があります。多くの場合は、従業員へのアンケートを最初に行い、現在使用しているツール、現在のソフトウェアに対する意見、仕事のワークフローを改善する方法、職務遂行の妨げとなっている問題などについて把握します。デジタルワークスペースは、そのような問題を取り除いて従業員の仕事とコミュニケーションを容易にすることに焦点を当てる必要があります。
評価の完了後、組織全体のビジネス部門と IT 部門のリーダーを巻き込み、共通の目標や、導入に関する明確なビジョンについて合意を得ることが重要です。明確でシンプルな目標に向かって全員が取り組む状況を作らなければ、従業員からの全社的な賛同を得られる可能性は狭まり、特に、この変革のメリットを理解していない従業員の協力は望めないでしょう。また、経営陣は迅速な導入に対する支持を周知するとともに、組織のあらゆる層から賛同を得られるように働きかける必要があります。
次に、デジタルワークスペースはコミュニケーションとコラボレーションの向上に重点を置いているため、これらもデジタルワークスペース戦略を展開するうえで重要な要素になります。プロジェクト管理チームは、メッセージング、イントラネット、Wiki、全社的なソーシャル メディア ツールなどを活用して、デジタルワークスペースの進展状況を従業員に伝える必要があります。これらのコミュニケーションは、従業員がどこからどのようなデバイスを使用して社内コミュニケーションにアクセスするかに関係なく、すべて利用できる必要があります。また、従業員へのコミュニケーションでは、そのプロセスについて十分な透明性を確保し、デジタルワークスペースへの取り組みで組織がどのような段階にあるのか、どのような問題や障害が発見されて解決されたのか、全従業員がどのようにして一丸となり共通の目標に向かっているのかを明示することが不可欠です。
最後に、既存の従業員のためにも、新入社員のオンボーディングのためにも、新しいデジタルワークスペースに関する適切なトレーニングを用意する必要があります。変化は常に負担を伴うため、多くの従業員は、どのようなメリットがあるかわかっていても、新しい職場環境に対して警戒心を抱くでしょう。ツールについて、またそのツールが選ばれた理由について必要なインサイトを提供する堅実なトレーニング プログラムを確立することで、従業員は、なぜこのような変化が重要なのかを合理的に考え、学習を進めながら理解を深めることができます。トレーニングや付随するドキュメントは、既存の従業員が不安を解消し、新入社員が初日から能力を発揮するのに役立ちます。
デジタルワークスペースが従業員体験にもたらす効果
デジタルワークスペースにより、組織は深い人間関係と強固な文化を構築して、生産性の向上、業績全体の向上、従業員ロイヤルティの向上を実現できます。従業員はこの新しいデジタル体験のなかで職務に取り組み、会社変革の中心的な役割を自ら果たすことになります。
デジタルワークスペースのコラボレーションおよびコミュニケーション ツールは、経営陣にとっても、組織全体の従業員から問題を聞き出し、従業員との強固な関係を築くうえで大いに役立ちます。従業員の声が会社に届くことが周知されれば、特定の顧客や組織全体に変化をもたらすようなインサイトを従業員から得られる可能性も高くなります。
従業員の満足度とエンゲージメントは組織の成功に不可欠であるため、優れた従業員体験を提供することは、タスク ワーカーから経営陣まで、組織内のすべての人に利益をもたらします。
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