We couldn't find a match for given <KEYWORD>, please try again.

体験管理とは

体験管理は、さまざまな人と組織の間でのあらゆるやり取りを追跡、測定、分析、改善するための方法です。ここでいう「人」には、従業員、顧客、ベンダー、サプライヤー、その他のステークホルダーなどが含まれます。体験とは、これらの人々が、これまでのやり取りに基づいて当該の組織に対して抱く印象やそれに関連する感情のことです。体験は分析ツールやアンケートを用いた定量的/定性的な手法で測定されます。体験管理ソリューションは、組織内の体験全体を可視化して改善することで、企業がより優れたビジネス成果を達成できるよう支援するソリューションです。

 

従業員体験管理は、体験管理の重要な側面の一つです。従業員体験の領域は、IT(従業員のデジタル体験(DEX))、人事、セキュリティ、不動産など広範にわたります。ここ 18 ~ 24 か月間の従業員体験に注目してみると、サイロ化された従業員体験を監督する役職へのニーズが企業内で高まっており、最高体験責任者を設置する企業も増えています。

体験管理のメリット

多くの企業が体験管理に取り組む目的は、ビジネス上の成果の向上です。たとえば、顧客満足度の向上による収益増や、従業員満足度の向上による意欲と生産性の強化が具体的なメリットとして挙げられます。Gartner が実施した従業員体験に関する調査のレポート [1] では、従業員が組織での体験におおよそ満足している組織はそうでない組織と比べて、顧客満足度に関する目標を達成している割合が 48%、イノベーションに関する目標を達成している割合が 89%、組織の評判に関する目標を達成している割合が 56%高いというデータが示されています。
 
体験管理はさらに、以下の各領域でもメリットをもたらします。
 
  • 人材の採用と定着:今日の求職者は、職務内容やその他の一般的な企業情報だけではなく、企業の評判を調べたり Glassdoor や Blind などのソーシャル サイトを参考にしたりして、企業の生活面や文化面でのメリットについても考慮したうえで応募を検討します。一方で、組織での体験に満足している既存の従業員が優れた人材の獲得に貢献してくれることもあります。また従業員の満足度が高ければ、離職率は下がり定着率は向上します。

  • 従業員エンゲージメントと生産性:組織での体験に満足している従業員はエンゲージメントが高いことが多く、これは意欲や生産性の強化に直結します。生産性の高い従業員の存在は、組織の収益に好影響をもたらします。

  • 収益の増加:顧客満足度が高まればリピート率や顧客単価も増えるため、企業の業績の向上にも直接つながります。従業員体験と顧客体験には強い結びつきがあり、従業員体験が良好であればより優れたカスタマー サービスが提供されるようになって、全体的な顧客満足度も向上します。 

体験管理が重要である理由

ここ数年における以下のようなトレンドにより、企業の事業活動やビジネスのあり方が変化しています。

  1. 新型コロナウイルス感染症の世界的なパンデミックによる、オンライン/バーチャルへのシフトの加速:仕事、買い物、コミュニケーションなど、人々の日常的な活動の多くの領域でオンライン テクノロジーの利用が拡大しています。が、テクノロジーを使ってバーチャルに行われるようになりました。つまり今日の世界では、オンラインでの体験に関する問題がビジネス上の損失に直結します。たとえば、業務でのオンライン体験の不満が、従業員が転職を検討する理由となる可能性があります。また、Web サイトが使いにくい、または必要な情報にアクセスできない場合、顧客はおそらくほかのベンダーを利用したいと感じるでしょう。

  2. デバイスとアプリケーションの急増:デバイスのモデル、OS のバージョン、アプリケーションが増加し続けてきたことで、企業がサポートしなければならない環境はより複雑化しています。たとえば IT 部門は、従業員の全体を対象に、多様なデバイスとオペレーティング システム(OS)の組み合わせをサポートする必要があります。アプリケーション開発者は、顧客ベースを維持、拡大するために、あらゆるデバイスや OS で確実に動作するアプリケーションを開発しなければなりません。ほかにも、デバイスとアプリケーションの増加によりさまざまな課題が生じています。

  3. あらゆるもののコンシューマー化:コンシューマー向けテクノロジーでは従来から、柔軟性、選択肢の多さ、使いやすさに対し高い水準が求められていましたが、今日ではこの要望がワークスタイルの好みや柔軟性などの分野にも広がっています。

 

顧客も従業員も企業に対して、マルチチャネルの仮想的な手段で、場所や時間を問わずあらゆるデバイスを使用できることを期待しています。そのため、企業はより充実したデジタル サービスを提供しなければならず、そのサービスにおけるエンドユーザー体験の測定がますます重要になると見込まれます。

体験管理の仕組み

体験管理を行うためには、以下の 4 つを実行する能力が必要です。(1)エンドユーザー体験の測定、(2)データの分析、可視化によるインサイトの取得、(3)問題のトラブルシューティング、(4)必要に応じた修正および是正と、可能であれば自動化。 

 

測定:エンドユーザー体験を効果的に測定するには、定量的データと定性的データの両方の収集が可能である必要があります。定量的データは通常、次のようなシステムを使用して収集します。

  • デバイスの健全性などのデータを収集するエンドポイント管理ツール。デバイスのメモリ残量、バッテリー寿命の状態など、ユーザー体験に影響する可能性のある情報を収集します。
  • アプリケーションのクラッシュ、ハングアップ、エラーなどを記録するAPM(Application Performance Monitoring)ツール。例えば、1つのタスクを実行するのにどれだけの時間がかかるかを測定する能力がある。また多くの場合、ユーザーがアプリケーションをどのように操作したかを追跡し、アプリケーション利用時のユーザー体験に関する詳細な情報(チェックアウトのしやすさの把握や、ユーザーが使用を中止することの多い箇所の特定に役立つ情報など)も提供します。
  • ネットワーク監視ツール。ネットワークの可用性、健全性、パフォーマンスを追跡します。ネットワーク トラフィックのさまざまな側面に着目した、数多くのネットワーク監視用プロトコルを使用できます。

体験管理を行うためには、定量的データに加えて定性的データも収集する必要があります。これにより、エンドユーザーの感情をよりよく理解し、ほかの方法では検出されないような問題を捕捉できるようになります。定性的データを収集するための調査ツールは市場で多数提供されています。

 

分析と可視化:データは収集したうえで分析および可視化する必要がありますが、これは通常、ダッシュボードやレポートによって行われます。ツールによっては、機械学習モデルを使用して体験スコアの算出や、KPI が正常範囲外である場合の検出などを行い、より高度なインサイトを提供することもできます。これらのツールを使用することで、企業は自組織の環境を可視化し、データに基づいた意思決定を行うことができます。

トラブルシューティング:問題が発生した場合、組織は積極的にトラブルシューティングを行い、問題の根本原因を特定する必要があります。多くの場合、このタスクは手作業で行われており、非常に時間がかかるうえに、エンドユーザー側の作業が必要になることもよくあります。データの量は膨大になりがちですが、過去に別のユーザーで同じ問題が発生したことがある場合などには、その過去の経験に基づいた詳細なガイダンスが与えられるようなアプローチが非常に役立ちます。さらに、直面している問題に関連するデータを管理者により多く提供することで、根本原因の分析を迅速化できます。

修正:問題の根本原因が特定されると、次に行う必要があるのは問題の修正です。場合によっては、パスワードの再設定など、組織が介入せずにユーザー側で問題を解決できることもあります。より理想的な方法は、自動化とセルフサービスのワークフローを可能な限り活用して、コストの削減と全体的な体験の向上を図ることです。

体験管理の取り組みが進んでいる組織では、問題の検知を事後的に行う体制からプロアクティブなアプローチへと移行し、エンドユーザーからの報告や体験への影響が発生する前に問題を特定できる体制を確立することを目指しています。また、体験管理をさらに進化させ、エンドユーザーにセルフサービスのオプションを提供することで、柔軟性を向上させるとともにコストも削減できます。

[1] The Modern Employee Experience:従業員体験の投資に対するリターンの増加、ガートナー、2020年

 

 

関連するソリューションおよび製品

従業員のデジタル体験

勤務場所を問わない、あらゆるデバイスでの従業員の生産性の向上

従業員のデジタル体験の管理

Workspace ONE Intelligence による従業員のデジタル体験の管理(DEEM)