マルチクラウド管理とは
マルチクラウド管理とは、複数のパブリッククラウドにわたるアプリケーションとワークロードの監視と保護を可能にする、一連のツールと手順です。最適なマルチクラウド管理ソリューションでは、IT 部門が複数のクラウドを単一のインターフェイスで管理でき、複数のクラウドプラットフォーム(AWS や Azure など)と Kubernetes などの新しいツールがサポートされます。
現在は、大半の組織が複数のパブリッククラウド サービス プロバイダーを利用しています。そのため特定のベンダーへの依存度が低くなり、各プロバイダーの相対的な利点を活用し、クラウドの使用率とコストを最適化することができます。ただし、使用するクラウド プロバイダー数が増えるほど、クラウド プロバイダーの管理作業は複雑になります。マルチクラウド管理戦略およびソリューションは、ほかのツールと連携する統合管理プラットフォームを提供することで、管理を簡素化、効率化すること目指しています。
コンテナと Kubernetes は、マルチクラウド管理を実現するための重要なテクノロジーです。コンテナには、アプリケーションが依存関係や必要なサービスとともに軽量なパッケージにバンドルされているため、開発者は任意のクラウドに展開できるアプリケーションを容易に構築できます。Kubernetes を使用すると、これらのコンテナを効果的に管理、展開、および自動化できます。
マルチクラウド管理ソリューションでは、通常リソースにセルフサービスでアクセスできるため、開発者はアプリケーションに最適なクラウド環境を選択することができます。一部のソリューションには、移行機能や事業継続性/ディザスタ リカバリ ソリューションが含まれています。

VMware Cloud Management の概要

クラウドの複雑性をシンプルにする 3 つの基準
マルチクラウド管理のメリット
堅牢なマルチクラウド管理プラットフォームは、次のような多くのメリットを提供します。
- IT 部門の負担の軽減:簡素化された統合管理機能を提供するマルチクラウド管理ソリューションにより、IT 部門は複数のクラウドにわたるアプリケーションとワークロードをより効果的に管理できます。
- 可視性:マルチクラウド管理を利用しなければ、複数のクラウド プロバイダーにまたがる複雑な環境でワークロードを監視し、どこでなにが実行されているかを把握することは困難です。優れたマルチクラウド管理ソリューションは、企業がマルチクラウドのメリットを享受できるようにするために、マルチクラウド環境全体の可視性を提供します。
- セキュリティ:クラウド プロバイダー全体にわたってセキュリティ ポリシーの一貫性を維持することは困難です。また、マルチクラウドの複雑さがセキュリティ上の欠陥の一因になったり、攻撃対象領域の拡大につながることがあります。マネージド アプローチにより、IT 部門は事後対応ではなくプロアクティブに潜在的なセキュリティの問題に対処できます。また、非常に優れたマルチクラウド管理プラットフォームは、セキュリティの監視や自動化などの機能を提供するほか、プラットフォーム全体にセキュリティ ポリシーを適用する機能も備えているため、環境のセキュリティを維持する難しさが大幅に緩和されます。
- コスト管理:多くの企業はさまざまなクラウド プロバイダーが提供する割引やコスト削減効果を利用するためにマルチクラウド戦略を立てていますが、マルチクラウド環境が複雑化すると、すぐにコストを把握できなくなってしまいます。マルチクラウド管理を利用すると、コストと使用状況を追跡できます。一部のプラットフォームでは、インテリジェントなデータ分析を使用してコスト管理を最適化することもできます。
- 可用性の向上:可用性は、マルチクラウド戦略を推進する際に企業が求める多くの利点の 1 つにすぎません。しかしマルチクラウドのメリットをフルに実現するには、IT 部門は 1 つの環境で障害が発生したときに、ワークロードを複製してシームレスに移行できなければなりません。効果的なマルチクラウド管理により、これを実現できます。
マルチクラウド管理のガイド
マルチクラウド管理の戦略およびソリューションは多数存在していますが、優れたものには多くの共通の機能があります。おそらくもっとも効果的な機能は、コンテナとの互換性です。この機能によって、仮想マシンよりも容易に、複数のクラウド プロバイダー間でワークロードを移動できます。したがって、コンテナと Kubernetes のサポートは、堅牢なマルチクラウド管理プラットフォームの決め手になります。
自動化は、効果的なマルチクラウド管理ソリューションのもう 1 つの機能です。自動化によって、IT チームは迅速かつ確実にアプリケーションを展開、監視、保護することや、大きな負担を強いられずに運用を拡張することが可能になります。このように、自動化はマルチクラウド環境の複雑さへの対応に役立ちます。
マルチクラウド環境間でワークロードを移動する方法
マルチクラウド環境間でのワークロードの移動は、ワークロードの可搬性を確保することから始まります。ワークロードは、大幅な変更を必要とせずに、クラウド ネイティブの要素も維持しながら移動できるようにする必要があります。企業の多くは、ワークロードの可搬性を高めるためにコンテナに注目しています。各コンテナは 1 つのアプリケーションとその依存関係を含む軽量なパッケージであるため、さまざまなクラウドや環境間で容易に移動することができます。
また、クラウド全体で一貫性のあるアプリケーション管理を行う必要もあります。このときに役立つのがクラウド管理プラットフォームです。適切なクラウド管理では、クラウド環境全体に一貫したポリシーを適用し、各アプリケーションに最適なプラットフォームを選択することができます。
最後に、ワークロードを別のパブリッククラウドに移行するタイミングと理由を把握します。コンテナを使用する場合でも、ワークロードの移動にはある程度の労力が必要になり、新しい環境のパフォーマンスが低下するリスクは常にあります。そのため、以下のような項目を考慮し綿密に計画されたマルチクラウド戦略が重要になります。耐障害性を高めるために冗長展開を目指していますか。それとも最適な環境で各ワークロードを実行する分散展開戦略を使用していますか。目標を決定し、その達成のみを目的にワークロードを移動してください。
マルチクラウド管理の課題
マルチクラウド管理には明らかなメリットがありますが、導入は難しい場合があります。管理ソリューションの導入を妨げる可能性がある障害の一部を示します。
- 複雑性の増大:これがマルチクラウド アプローチのもっとも基本的な課題です。マルチクラウド管理は、この課題に対応するように設計されています。マルチクラウド環境は本質的により複雑であり、効果的な管理ソリューションを導入するためにその複雑性に対処することは困難な場合があります。
- 異なるソフトウェア環境間の連携:効果的なマルチクラウド管理を実現するには、連携の問題を伴わずに複数の環境を移動できるアプリケーションを構築する必要があります。しかし、各クラウド プラットフォームの違いを考慮すると、こうしたアプリケーションの構築は困難な作業です。前述のように、コンテナはこの課題を回避するために生まれた新しいテクノロジーであり、異なるパブリッククラウド プロバイダー間の容易な可搬性を提供します。
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