ソフトウェア ロードバランシングとは
ソフトウェア ロードバランシングは、管理者がネットワーク トラフィックを異なるサーバにルーティングする方法です。ロードバランサーは、まず、アプリケーションレベルの特性(IP アドレス、HTTP ヘッダー、リクエストの内容)を調べてクライアント リクエストを評価します。次にサーバを調べて、そのリクエストをどのサーバに送信するかを決定します。

最新のロードバランシングの概要

VMware NSX Advanced Load Balancer(旧 Avi Networks 製品):データシート
ハードウェア ロードバランシングとの違い
ソフトウェア ロードバランシングは、通常、標準サーバまたは仮想マシン上で実行されるアプリケーション デリバリ コントローラ(ADC)の機能として提供されます。ハードウェア ロードバランシング デバイス(HLD)は、ロードバランシング ソフトウェアを実行するスタンドアロンのハードウェアです。一方のロードバランシング デバイスが故障した場合に備え、慣例的に HLD は 2 台 1 組でデプロイされます。ソフトウェア ロードバランシングは HLD と同じ機能を提供しますが、専用のロードバランシング デバイスを必要としません。ロードバランシング ソフトウェアは、通常のサーバまたは仮想サーバで実行できます。
ソフトウェア ロードバランシングの仕組み
ソフトウェア ロードバランシングはハードウェア ロードバランシングと同じように動作し、選択されたアルゴリズムに従って、プールされている複数のサーバにトラフィックを分散します。
ロードバランシングによって複数のサーバにワークロードを分散させることで、ネットワークの効率性と信頼性が向上します。ロードバランシングを行うと、用意されたサーバをより効率的に使用できるため、ネットワークのキャパシティが増加します。その結果、1 台のサーバにワークロードが集中し、ほかのサーバは使用されていないという状態を回避できるため、ネットワークの速度が向上します。さらに、ロードバランシングを実装した環境では、いずれかのサーバで障害が発生した場合、そのサーバから正常に機能しているサーバにトラフィックを切り替えることで、中断することなく処理を続行できます。
ロードバランシングの種類
ソフトウェアベースのロードバランサーを使用するには、サーバに直接インストールするか、または LBaaS(サービスとしてのロードバランサー)として購入します。LBaaS の場合、ロードバランシング ソフトウェアのインストール、構成、管理はサービス プロバイダーが担います。ソフトウェアベースのロードバランサーは、オンプレミスまたはオフプレミスに配置できます。
サーバと同様、ロードバランシングにも物理アプライアンスと仮想アプライアンスがあります。物理アプライアンス(ハードウェア ロードバランシング)と仮想アプライアンス(ソフトウェア ロードバランシング)は、いずれもクライアント リクエストとサーバの使用状況をリアルタイムで評価し、さまざまなアルゴリズムに基づいて各サーバにリクエストを送信します。トラフィックの送信先は、管理者が設定したロードバランシング ポリシーに基づいて決定されます。
ロードバランシングの手法
ロードバランサーは、次のいずれかの手法を使用してネットワーク トラフィックの送信先を決定します。
- ラウンドロビン アルゴリズム:ラウンドロビン アルゴリズムはもっともシンプルなロードバランシング手法です。利用可能な各サーバにリクエストを均等に割り振ります。
- 最小接続数アルゴリズム:最小接続数方式はもう少し高度です。この方式では、もっともビジーでないサーバ、つまり、その瞬間に処理しているワークロード数がもっとも少ないサーバにリクエストが送信されます。
- 最短時間アルゴリズム:さらに一歩進んだ最短時間アルゴリズムでは、処理スピードがもっとも速く、かつアクティブなリクエスト数がもっとも少ないサーバが選択されます。このアプローチでは、より多くのキャパシティ、コンピュート、またはメモリを確保しているサーバを常に優先する、重み付きロードバランシング アルゴリズムが使用される場合があります。
- ハッシュベース アルゴリズム:さらにもう 1 つ、ハッシュベース アルゴリズムがあります。この場合、ロードバランシング アプライアンスは、クライアントとサーバの送信元および送信先の IP アドレスに一意のハッシュ キーを割り当てます。これにより、以前と同じユーザーが別のリクエストをした場合、そのユーザー リクエストは前回と同じサーバに送信されます。さらに、そのサーバには、以前のセッションで入力されたデータも保持されます。
ソフトウェア ロードバランシングが使用される理由
ハードウェア ロードバランシングにはないメリットが得られることから、ソフトウェア ロードバランシングが普及しつつあります。
- スケーラビリティ:ソフトウェア ロードバランシングがハードウェア ロードバランシングに勝る最大のメリットは、そのスケーラビリティです。ソフトウェア ロードバランサーは、需要に応じて仮想サーバを追加または削除できます。また、ネットワーク トラフィックの変動に自動的かつリアルタイムに対応できます。
- 柔軟性:ソフトウェア ロードバランサーは、ハードウェア ロードバランサーより柔軟性にも優れており、さまざまな環境に対応できます。標準のデスクトップ オペレーティング システム、クラウド環境、ベアメタル、仮想サーバ、コンテナで動作するようにプログラムできます。ハードウェア ロードバランサーはプログラム可能でないため、柔軟性に欠けます。
- コスト:組織は、ソフトウェア ロードバランサー、特に LBaaS を利用することでコストを削減できます。ハードウェア ロードバランサーの費用は設備投資コストに分類されますが、ソフトウェア ロードバランサーについては、組織が独自に購入する場合でもその費用は運用コストとみなされます。
- シンプルな展開:ハードウェア ロードバランサーはインストールが難しく、費用もかかります。一方、ソフトウェア ロードバランサーは必要に応じて容易にデプロイでき、コストと時間の節約になります。
- セキュリティ:クライアントとサーバの間にロードバランシング ソフトウェアを配置することで、サーバに到達する前に不審なパケットを拒否できるため、セキュリティがさらに向上します。
ソフトウェア ロードバランシングは、ハードウェア ロードバランシングより明らかに多くのメリットを提供するように見えますが、IT 組織は、ハードウェア、ソフトウェア、さらに LBaaS の長所と短所をそれぞれのビジネス ニーズに照らして比較検討する必要があります。ソフトウェア ロードバランサーとハードウェア ロードバランサーを比較検討するときは、予算管理の観点からもそれぞれのメリットを比較してください。どのタイプのロードバランシングでも、適切に構成し、管理すれば、ネットワークの効率性と信頼性を高めることができます。
関連するソリューションおよび製品
マルチクラウド対応のロードバランシング ソリューション
最新のシンプルなアプローチを使ったロードバランシングによってセキュリティと応答性を確保
NSX Advanced Load Balancer
マルチクラウド対応のロードバランシング プラットフォーム
NSX Data Center
ネットワークとセキュリティの仮想化プラットフォーム